2011年3月18日金曜日

東日本大震災に関連して - その3 - 電源周波数

日本の商用電源周波数は歴史的経緯から西日本が60Hz、東日本で50Hzと
統一されていません。
聞くところによるとこれはアメリカ製とヨーロッパ製の発電機の違いで、
最初の掛け違いが未だに解消されていないということだそうです。
たしか大学の講義で聞いた話だったような…。
その境界はほぼ糸魚川静岡構造線に沿っています。
ところで、電力の融通する場合には周波数を合わせる必要があり、
全国で3箇所の周波数変換所が設置されています。
ここで使っているでかいサイリスタを大学の授業で見せてもらったことがあります。
ちなみに私が大学生の頃は2箇所しかありませんでした。
まあ最後にできた東清水変電所は現在も仮運用中だそうです。

話は脱線しますが電気の流れについて少々説明しておきましょう。
電流は電圧の高いほうから低いほうに流れます。
直流電流の場合は発電機につながっている電線よりも
高い電圧を発電できれば電気の供給元になれます。
発生電圧が異なる電池を並列につなぐと、
電圧の低いほうの電池は電気を供給できていないことになります。
交流発電になるともう少し複雑で、
電圧を高くするのは当然として周波数と位相を合わせる必要があります。
いったん発電してしまった交流電力の周波数や位相を変化させるのは結構大変で、
一般的にはいったん直流に変換してから
インバータで都合のいい交流に再変換することになります。
交流から直接交流に変換するサイクロコンバータなんてのもありますが。
では直流電流を作ってそれを交流に直せばよいと言うことになりそうですが、
インバータは半導体スイッチのサイリスタで構成するため
大きな電流の変換は熱損失が大きく実運用には不向きです。
ではどうやって複数の発電機の周波数と位相を合わせるのかというと
これは意外に簡単で、
交流発電機を交流モータとして回転させ始め、
定常回転になったらタービンに力をかけて自己発生電圧を高くし、
電力を供給状態にまで持っていけばいいのです。
複数の交流発電機がいったん同期してしまえば
基本的な運用はそんなに複雑ではありません。
電力使用量が多くなると全体的に電圧や周波数が落ちてくるので
発電機の数を増やして対応できます。

閑話休題。
今回のような電力不足が起きると、
この周波数の違いがネックで融通が難しくなってしまいます。
そこでこの際周波数の統一を検討するのも一案と考えます。
現在50Hzなのは北海道電力、東北電力、東京電力の3社で、
60Hzなのは中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、
四国電力、九州電力、沖縄電力の7社ですし、
各圏内の人口も60Hz側が微妙に多いので、
ここは60Hzにあわせるのが筋のような気もしますが、
50Hzには盟主東京電力、そして東京都がいるので、
簡単にうんとは言わないでしょう。
なんとか周波数統一の道はないのでしょうか。

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