2018年9月26日水曜日

直流連系

先日の北海道胆振東部地震による北海道全域のブラックアウト
当時の状況の解析が進んでいろいろと明らかにはなってきましたが、
区分開閉器か何かで特定地域を見捨てつつ
運転予備力を機能させて立ち直りかけたものの、
需要が急激に大きくなりすぎて待機予備力の発動までの時間が稼げす、
切り離せる地域もなくなって発電機を守るため負荷遮断せざるを得なくなり、
結果ブラックアウトになったということみたいです。

そもそも発電所の運転は需要実績等から前日までに運転計画をつくり、
瞬間的な需要増には水力・火力のガバナフリー余力を用い、
それで対応できないようなら運転予備力として対応に10分程度かかる
揚水発電の起動や部分負荷運転中の水力・火力の出力上昇を行い、
待機予備力が起動するまで頑張ることになるのですが、
待機予備力はバランス停止中の火力だったりするので
発電までに数時間はかかります。
今回のような事態を救うとなると、
運転予備力をべらぼうに確保しておくような運用が必要になるでしょう。
それは効率面から考えるといい方法とは言えません。

そういう効率の悪さをカバーするために広域連系が行われるのですが、
今回ケースでは北本連系が直流送電であることが仇となって
融通不能な状態に陥ってしまいました。
ただ直流送電には明確な利点があり、ちょっと調べて見たところ、
長距離海峡間送電は直流送電が主流のようです。
欧州での北海を囲む電力融通も直流送電のようです。
建設が予定されている北本連系の二系統目も直流送電のようです。

ところで直交変換のために使われているデバイスはサイリスタで、
大昔に大学で電力関連の講義を受けていたときに、
東京電力と中部電力の間にある周波数変換所で使われている
サイリスタの実物を見せてもらった記憶があります。
小さめの漬物石のような大きさと重さで、
天地面が全面電極となっており、これを上下に重ねて柱状にし、
その柱を何本も並べて大電力を制御するとのことでした。
制御用のゲート端子は側面に空いた小さな穴で、
光ファイバーを突っ込むみたいな話だったような気がします。
そのサイリスタ単体にしてもDRAMの製造技術を応用し、
気が遠くなるような数のサイリスタ素子を集積して
大電力に対応するんだとか。
ずいぶん昔に聞いたことなので記憶があやふやです。
歳はとりたくないものです。

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