2014年2月5日水曜日

任天堂の盛り返し策

去る1月30日、任天堂が経営方針説明会を開きました。
発表内容質疑応答は公式サイトに掲載されていますが、
私の独自の視点で読み解いてみます。

まずはWiiU GamePadを有効活用できる施策についてです。
WiiUの販売不調について認めたのは驚くことではないのですが、
現状WiiU GamePadをうまく使うゲームが出来ていないことについても、
一応認めた格好になっていて、その部分については評価したいと思っています。
当初の非対称のゲーム体験というアイディアは悪くないのですが、
Nintendo Landのミニゲームどまりだったのは痛いですね。
これではWiiU GamePadの存在意義はテレビレスプレーしかありません。
私個人としてはこのテレビレスプレーは気に入っていて、
今やピクミン3のようなテレビを使わざるをえないようなゲームの方が面倒だったりします。
が、WiiU GamePadにはもっとふさわしい役割を与えるべきでしょう。
心配なのが今のところ具体案が見えていないことです。
ものすごい使い道を思いついたとしても、小手先でない使い方となれば
ゲームとして登場するまでに相当な期間を要するでしょうし、
そもそもハード開発時に思いつけなかったものを後付けで発想するのは大変です。
まあNintendoDSも同様だったので、今後WiiU GamePadにとっての
キラーコンテンツが出てくることを期待しておきます。
質疑応答を見ると来期のWiiUについてはより現実的な視点を持っているようなので、
楽観はしないまでも悲観することはないと考えています。

NFCリーダーについては発売当初から見切り発車的なにおいがしていて、
1年経った今でもあまり使い道がない状態ですが、
E3に向かって何か仕込んではいるようです。
NFCというと実用面では決済ということになりますが、
クレジットカードやプリペイドカードが使えている現状、そう必要なものでもありません。
もちろん決済手段が多様化するのは特に未成年プレイヤーのためにも歓迎ですが。
ゲームでの利用となると、フィギュアに埋め込まれたNFCチップを読み取って…
という話はあるものの、これってアイテム課金をリアルにしたような側面があり、
遊んでいるときの作業のめんどくささもありそうで、あまり心動かされません。
スマートフォンやタブレットをコントローラとして使うための登録処理にNFCで情報を交換など
考えられなくはありませんが、これにしたってゲームに直接的に使うわけでもないですし。
あとはログインが簡単にできるとか?
まあ何か隠し玉があるかもしれないのでE3での発表を待つことにします。

WiiU GamePadにはそれなりのCPUが載っているはずで、
その上でテレビリモコン機能などが動作しています。
このCPUはWiiU本体が起動する前でも動作し続けているので、
これを利用してゲームを選択できる高速起動メニューを実現するようです。
つまりはWiiU GamePadのファームウェア更新ということでしょう。
さすがにWiiU GamePadのみでちょっとしたゲームを動かすなんてことはしないでしょうが、
リソースを最大限利用しようという姿勢は評価できます。

NintendoDSのゲームをWiiUにバーチャルコンソールとして供給するそうです。
具体的な話が出てきていない状況ですが、
上画面をテレビ、下画面をWiiU GamePadでエミュレートするのが構成上無理はないものの、
上下画面を同時に見るようなゲームだと首が痛くなるので、
WiiU GamePadだけで遊べるモードも入れてくれると信じています。
まあ私の希望は置いておくとして、バーチャルコンソールは別の項目であった
「新市場では先進国と価格体系が異なる製品群が必要」
という趣旨の発言と関係があると考えています。
NintendoDSのパッケージソフトをダウンロード版に仕立て直せば、
バーチャルコンソールの名の下に販売できるでしょうし、
それをパッケージ版非対応の廉価なNintendoDSで遊んでもらうとかいいんじゃないでしょうか。
Nintendo2DSの半額で販売できるなら、そこには別の可能性が生まれてくると思います。

ニンテンドーネットワークIDでユーザを一元管理するという話の中で、
スマートデバイスやバーチャライゼーション触れられていました。
イメージとしてはわからなくはないのですが、
現状マーケティング面、つまり任天堂側にしかメリットが見られないような気がします。
ニンテンドーネットワークIDに紐付けてNintendo3DSのゲームをダウンロードしても、
どうせ自分所有の1台の3DSでしか遊べませんし。
セーブデータのクラウド保存やストリーミングプレーがメジャーになりでもしないと
ユーザー側にメリットはないような気がしています。
とりあえずすぐにやってきそうなのは、
クラウドサービスであるポケモンバンクに預けたポケモンの閲覧用の
スマートデバイス向けアプリケーションぐらいでしょうか。

多分そういう疑問を払拭するのがソフトの価格の値引きなんだと思います。
これはニンテンドーネットワークIDでのソフト購入情報を元に
お得意様には値引きをしようという発想で、別に珍しいことでもないのですが、
まさか任天堂が言い出すとは思ってもみませんでした。
パッケージ版については、登録後のキャッシュバックや
eショップで使えるポイントを還元することで、実質値引きできますが、
キャッシュバックは手間がかかりますし、
卸売価格と販売価格の関係で考えても任天堂にとっては利益の減り幅が大きくなります。
中古品も絡んできますし、そもそもゲームソフトの単価を考えると
任天堂がキャッシュバックをしてくるとは思えません。
ポイント還元についてはダウンロード版購入への導線施策として悪くはないものの、
値引きの本命はダウンロード版ということになりそうです。
そうなると、たくさんゲームを買う人ほど店舗でパッケージ版を買わなくなるわけで、
店舗での売り上げが大幅縮小なんて事にもなりかねません。
任天堂はこれまでダウンロード版の価格をパッケージ版と同価格に高止まりさせたり、
ダウンロード版の購入が店舗でも出来るようダウンロードカードを用意したりと、
常に店舗側に配慮してきたふしがありますが、
任天堂はいよいよ覚悟を決めたのかもしれません。
実店舗では売れなければ売り場面積は減りますし、展示も地味になるでしょうから、
一般の方への商品アピールで不利になると思われ、
それを補うためにスマートデバイスを活用するということなのかもしれません。
いずれにしても近いうちに詳細が発表されるでしょうから、それを待つことにします。

マリオカート8は5月発売だそうです。
3月なら消費税増税前でWiiU本体の販売にも好影響があるかと思っていたのですが、
ちょっと残念です。
本当は個人的に早く遊びたかったから残念なのですが。

さて、今回の説明会ではビデオゲーム事業とは独立した
新規事業についての話題が飛び出しました。正直予想外でした。
ただし具体的な発表はなく、任天堂の強みを活かした
新しいQOL(Quality of Life)向上プラットフォーム事業を始めるとのことです。
まずは[健康]に注力し、[学習]や[生活]にも手を出すそうですがイメージが湧きませんね。
プラットフォームということなので、健康に関するアプリケーションが動作する端末、
あるいはクラウド側のサービス、拡大解釈するならスポーツジムの運営とも理解できますが、
任天堂らしく端末を販売する事業になると予測しますし、質疑応答からはそう読み取れます。
モバイルやウェアラブルではなくノン・ウェアラブルな製品とのことで、
多くの日本企業が後追いでクラウドとかスマートデバイスとか言ってる中で、
その先をにらむのは任天堂らしくいいのですが、口で言うほど簡単にはいかないでしょう。
ただどうやら具体的なアイディアがすでにあるようで、
私がほしいものになるかどうかはともかく、詳細が明らかになるのが楽しみです。

0 件のコメント:

コメントを投稿