携帯電話からの通話を安くすると言う触れ込みで「楽天でんわ」が登場しました。
安くするといっても今流行の050系IP電話や、
もはや電話でもなんでもないクローズドコミュニケーションツールを利用するのではなく、
まっとうな電話回線(回線交換)を使います。
原理は別に新しいものではなく、
かつて固定電話にあった(今でもある?)マイラインというか、
DDI(現KDDI)や日本テレコム(現ソフトバンクテレコム)の回線を使うことで
市外通話が安くなり、費用請求がそっちから来ていたサービスの応用です。
しかも携帯電話向けに同様のサービスはすでにG-Callがやっています。
ということで別に新しいことをやっているわけでもないのですが、
これだけ派手に宣伝しているとあまりリテラシーのない方にもそれなりに響くのでしょうね。
個人的にはソフトバンクに喧嘩を吹っかけるためにやっているのかと思ったりしています。
サービス自体は楽天傘下のフュージョン・コミュニケーションズが提供しています。
で、その安くなるかけ方は、090/080/070で始まる
発信元(自分の)携帯電話の番号を「楽天でんわ」に登録した上で、
その携帯電話で電話をかける際、
相手の電話番号の先頭に"0037-68"をつけるという前時代的なものです。
専用アプリケーションが用意されていますが中でやってることは基本的にそれだけです。
フュージョンのマイラインでの事業者識別番号は"0038"ですが、
今回新たに"0037"を準備し、サービス識別用に"68"を使っているということなのでしょう。
実際に安くなるかと言うと正直微妙で、
無料通話分で納まる範囲や無料かけ放題の相手に対して利用すれば
逆に余計な出費になるわけで、そのへんは利用者側が把握しつつ運用することになります。
宣伝文句を鵜呑みにするのはまずいですね。
まあ登録料も月ごとの基本料も必要ないので、
とりあえず入っておくというのはありと言えばありです。
ところでこのサービス、早晩意味のないサービスになるのではないでしょうか。
というのも、2014年にはVoLTEが始まりそうだからです。
もともとLTEはデータ(パケット)通信に特化しており、通話は3Gの回線交換で行われています。
通信会社は効率の悪い3Gから早期にLTEへ電波を振り分けたく、
携帯電話の通話をIP電話の一種であるVoLTEに持っていこうとしています。
そうなると通話コストが非常に安くなることは明らかで、
固定電話網への乗り入れ分を無視すれば理論上定額データ通信内で収まります。
そのときはたして「楽天でんわ」の存在意義があるのでしょうか。
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